コレステロールというのは、血液中や人間のあらゆる組織に見い出される脂質である。細胞膜の構成成分や、性ホルモンや副腎皮質ホルモンや胆汁の原料になるなど、体にとって非常に重要な成分になる。とくに血管壁や赤血球の保護には不可欠な成分といわれている。

体内では肝臓などで作られているが、それだけでなく一日に約一〇〇~四〇〇mgは食べ物から摂取している。

コレステロールは油の一種のため水分の血液にはそのままでは溶け込めず、「リポタンパク質」という球状の複合体粒子に包まれて血液中を流通する。

そのうち、高比重リポたんぱく(HDL)という粒子によって運ばれるのが「HDLコレステロール」、低比重リボたんぱく(LDL)という粒子によって運ばれるのが「LDLコレステロール」と呼ばれている。

それぞれ役割があり、「LDL」はコレステロールを血管に付着させ、「HDL」は余分なコレステロールを掃除して肝臓に回収する役割を持つ。

前者を「悪玉コレステロール」、後者を「善玉コレステロール」などと呼ぶが、誤解を招きやすい表現だ。どちらが欠けても人間の組織細胞は成立しないのだから、本来は善も悪もない。健康にはどちらもバランス良く必要なものなのである。

ところが、今世紀初めにロシアの病理学者・アニスコフらが、ウサギにコレステロールを食べさせたところ、大動脈にコレステロールが沈着して動脈硬化が起こったことから、「コレステロールが動脈硬化の原因である」と発表した。これがコレステロール禁忌説の発端といわれている。

以来、ふた昔ぐらい前までは、とにかく「コレステロールを下げる」ことが健康であるとされたが、最近になって医学や保健学らの研究者によりさらに詳しく調べられ、前出の大櫛教授らのような「見直し」の説が出始めたのだ。

では、その数値の「高い」「低い」はどうやって判断すればいいのか。日本動脈硬化学会のガイドラインでは、年齢や性別など一切お構いなく、総コレステロールが220mg/dl以上、LDLが110mg/dl以上は「高脂血症」扱いで、低コレステロール低下薬の処方がされうることになっている。

ところが、大櫛教授は、これを「年間三〇〇〇億円が無駄に薬品メーカーに払われている」と批判。

その数値に科学的根拠はなく、もとより適正コレステロール値は年齢や性別によって異なるものであり、たとえば40歳以上なら、男女とも260mg/dl以上でなければ、冒頭の『週刊女性』で述べているようにコレステロール低下薬の処方の必要はないとしている(『間違いだらけの診断基準』大田出版)。

ためしてガッテン 第5巻 常識が変わる!コレステロールの新事実 続 コレステロールの新事実 [VHS]


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